2006年 03月 30日

上海旅路事之顛末。

帰ってきてようやくネットをつなぐと周りがどうやらあわただしい。
進級製作展の最終日に唐十郎を見にいったときと同じ気分だ。

相変わらずイヤな感じの現実回帰と戦線離脱気味の自己嫌悪こそ満開。
いいじゃない。上海だもの。a0059578_21511340.jpg
「懐かしい」という言葉が出ないハズの建物ばかりだけれど、なんだか「懐かしい」。なんか色んなイメージが頭の中に錯乱しているような気がする。
この国は漢字の氾濫した国であり、かつ白人にも黒人にもなれなかったお隣さん同士の国だから不思議な国だ。この国は。




a0059578_221932.jpgサギ師だったのか良い人だったか最後までわからなかった途中で出会った李氏。自分と連れの二人に茶器を豪儀に買い与え、最後にはタバコの代金を代わりに払ってくれといったなり、「箱」でなく「カートン」で買おうとするから恐れ入る。これが「大陸的詐欺」なのか「大陸的渡世」なのか。

自分より明らかに5歳以上年下の女の子が連れに声をかける。となりには母親がいる。道がわからないかと思いきや段々「ハングル」という言葉が「ハングリー」だということに気づく。じゃあと言ってついありあわせの飯代を渡すと今度は故郷の南京に帰れないと言い出す。
本来なら「ふざけんじゃねぇ」の一言ありきだが、どうやら「不幸な少女作戦」に見事に敗北し、気づけば財布から50元が消えていた。


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出かける前に聞いていた「学生街の喫茶店」を口笛で吹くことに挑戦すると、裏路地の匂いがあまりにもきつい。
鳥を油でひたすら煮ているような臭い。
胡椒でも酢でもないなにがしかのきつい香辛料の臭い。
目黒川の臭い。
山手線のなかの仙人の周りに漂う臭い。この四種類がもれなく一種類もしくは混合でやってくる。食べ物のカス。痰。吸殻。何かの残骸。魚のうろこ。食べ物のカスだったなにか。このフレバーがこの裏路地をさらに迷路迷路を約束する。
迷路迷路迷路・・・。



a0059578_22261160.jpg帰国する前日にジャズバーという平常時なら明らかに敷居の高さ故に挫折していたであろう場所に入ってみる。
上海のジャズバーに関しては村上春樹の短編のみの情報しかもちあわせていない。唯一苦くないと思う青島碑酒を飲みながら卒制の構想をすっかり忘れていたことを思い出す。
ヤマクラ氏の上映だとかスズキ氏の大規模製作だとかタケウチ氏の受賞だとか世間はどうやらすごいことになっている。しばし考え込む。
バックレるか。バックレるのか?いっそこのまま旅の恥は掻き捨ててしまおうかとも思うが、ジャズバーの8倍は敷居が高い。しかもあっさては試験だし。・・帰らんと。
11時になってしまい地下鉄が終電を過ぎたのでようやく帰る決心を固めてウェイターを呼んだら少しだけ話した中国人と日本人のビジネスマンがどうやら勘定を払ってくれたらしい。
名もしらぬ隠し酒場の三商人。ありがとう。どうやら帰ってこれました。
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by s-tou-takahiko | 2006-03-30 22:41 | tabi


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